特別な音楽とありふれた記憶

昔から、気に入った一曲だけを延々とリピート再生するような聴き方をしていた。しばらくするとプレイリストに入れてランダム再生をする。その癖のせいで、耳にすると、特別ではない、日常的な記憶が蘇る曲というのがいくつかある。順不同で一部書く。

 

東京事変「心」

これはPC版リヴリーアイランドを延々とプレイしていた頃の記憶が蘇る。放浪してはモンスターに怯え、飼い主に忘れ去られてしまった哀れなリヴリーに気まぐれにエサをやり、G.L.Lの入口(無課金のため)でたむろしたり、やどかり亭で新しいエサを仕入れたりしていたあの頃。

◇イリーナ・メンゼル「Let It Go」

初めて一人暮らしした家の、狭いユニットバスの湯船に浸かっていた時の記憶が蘇る。もう近くに寄ることもないだろう、1Kでユニットバス、家賃78000円のありふれたアパート。

椎名林檎「長く短い祭」

これも東京にいた頃、熱帯夜に独りとぼとぼと帰宅しているときの記憶が蘇る。椎名林檎東京事変の曲がより鮮やかになるのは、東京のいいところだと思う。(無論いいところはそれだけではないが……)

abingdon boys school「INNOCENT SORROW」

実家で、従姉が結婚式で着用するネイルチップを作成していた頃の記憶が蘇る。ウェディングドレス用の白くてキラキラしたデザインと、お色直し用のネイビーでキラキラしたデザイン。はじめてスワロフスキーを使った。

 

他にも色々あるが、今でもその瞬間に戻ったような気分にまでなる曲はそう多くない。恋愛に結びつく曲もあるが恥ずかしいのでやめた。

早くも冬が行ってしまった。日が長くなり、空気の匂いが柔らかくなる。上がっていく最高気温、全身を襲う辛い痒みを予感する毎日。