加齢で涙もろくなるってまじなの?

愛情表現って本当に人それぞれだ。私なら、「姿が見えなくなるまで見送る(訳あって最近はやめた)」、「寝ているひとに毛布をかける」、「お気に入りの美味しいものを分ける」など。それぞれの育ってきた環境・文化、それに影響を受けた性格だとかで、かなり変わるように思う。「これってこの人の愛情表現では?」と気付いた瞬間、心臓のあたりがぶわっと熱くなって、涙が出そうになる。自分に向けられたものでなくても。更に言うと、愛に限らず、共感できるシチュエーションでひとの感情を察知するとじわりと涙が滲む。私こそが汗と涙の結晶である。

だから、困っている。最近は何を観ても(読んでも)どこかしらで涙してしまうのだ。こういうのって、子育てとかしてなんやかんやで人生経験を積んだ人がなるやつじゃないの?空気が読めなくて気が利かず、時に気づかずにひとを傷つけてしまっているだろう私の、共感性が爆発している。正直しんどいので普段は共感スイッチをOFFにする。生きていくためにはこうする必要があること、世話焼きタイプの人はどう思うんだろうかと架空の人物に思いを馳せる。

 

たとえば「となりのトトロ」では、3人でお母さんのお見舞いにいくシーンで脱落する。普段はちいさなお母さんとして気丈に振る舞い、家事や妹の世話(時に父親の世話まで……)をしているサツキ。きっと何をするにもまだ小さな妹を優先して、日々の色々をグッと堪えてきたであろう彼女が、妹よりも先に母親から髪を梳いてもらい、髪質は母親似だと言われ、頬を染めてくすぐったそうに笑うのだ。その時だけは母親役からも、姉役からも解き放たれて、お母さんが大好きな11歳の女の子に戻ることができる。母親も、彼女が普段どれだけ頑張っているかわかるから、サツキを優先するのだ。これが愛じゃなかったら何なの?泣ける。今だって泣きながら書いてるよ……

私はトトロで育った子供で、1日に3周していたこともあるらしい。今だってセリフを言いながら観ることができるくらい魂に刻まれている作品なのに、観るたびに新鮮に涙を流しているのだ。今後こういうのがどんどん増えていくと思うとこわい。人前で何も観られなくなる。

 

なお、「加齢で涙もろくなる」というのは、人生経験により共感力が豊かになるという理由のほか、「前頭葉の働きが弱くなるから」という説もあるそうだ。正直どっちでもいい、たすけてくれ