聞こえてくる音が変わるということ

転居して2週間と少しが経った。通勤時間が約4倍になり、趣味に充てる時間が自動的に減った。起床も2時間ほど早まったため日中はめまいがするほど眠いが、それ以外は心身ともに健康状態が改善された気がしている。

それは、夫が元気になったことが一番の理由だと思う。

私たち夫婦の職場は県内の鉄道沿線の、およそ端同士というか、直線距離で約60km(Google調べ)離れている。旧居は当時の夫の職場の近くで決めたが、転職したためこんなことになってしまった。私は私で自分の職場が気に入っていたため、仕方なく彼が毎日2時間ほど満員電車に揺られていたのだ。

他にも、旧居周辺の環境が肌に合わなかったようで、常にストレスを抱えている様子だった。そして、残暑の厳しいある日、耐え難い蒸し暑さと止まない雑音、毎日の通勤や仕事の忙しさに襲われ続けた夫が、ついに音を上げた。同時に、私が今の職場に対してうんざりしていたので、物理的に離れれば退職のいい口実になる……というのが転居を決めた理由だった。

 

私達夫婦はふたりとも聴覚過敏の気があり、更に夫は少し耳が遠い。徐々に馴染んできた新居では、聴覚から受けるストレスが減り、お互いに穏やかになった。なので、まだ旧居の記憶がある内に、聞こえてくる音がどのように変わったか書き残しておこうと思う。

 

【旧居で聞こえた音(鉄筋コンクリート、2階、角部屋)】

・お隣さんが何かをシンクに打ち付ける音(多分排水口のごみ受け)

・お隣さんのTVの音(音楽番組で知ってる曲が流れたら一緒に歌える程度)

・下の階の男性が子供を怒鳴りつける声(1~2ヶ月に1回)

・子供の泣き声(同上)

・夜泣き(いつの間にか止まった)

・猫の発情(季節物)

・目の前の中学校の吹奏楽部の練習(がんばって)

・裏手の駐車場でなり続けるセキュリティアラーム(週1)

 

【新居で聞こえる音(木造、2階建て長屋、両隣入居)】

・虫の声(秋なのでよい気分)

・鳥の声(意外にもヒヨドリは近くに来ていない様子)

・裏手の家の犬の声としつける声(ワン!!こら!)

・裏手の家の笑い声(楽しそう)

・お隣さんのえずく声(朝、おじさん、食卓にて。)

・両隣の床を踏む音(木造のため?)

・お隣さんがトイレを流したときの水道の音(慣れたら平気)

・お隣さんが階段を上り下りする音(木造のため?)

・お隣さん宅に孫と家族が遊びに来た時の声や音(幸せそう)

 

すぐに思いつくのは以上。私は旧居で聞こえた音もさほど気にしてはいなかったが、新居では驚くほど心が凪いだ状態なので、無意識にストレスを受けていたのだろうと思う。

今は新居で毎日愉快に過ごしている。季節が変われば、または、隣人が変われば聞こえるものも変わるだろうが、今のところはそれも楽しみに思えるほど、穏やかでいられている。この日々が続きますように!